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一人ひとりの物語

自分に
できることを

和田 真穂 MAHO WADA

旅客業務サポート室 国際サポートグループ ワンワールドサポートチーム
2017年入社/文学部 フランス語 フランス文学科 卒

消えたチケット

窓の外がオレンジ色に染まり始めたころ。慌ただしさを増した職場に、1本の電話が鳴った。発信元はJAL国際線予約センター。フランクフルト空港にいるお客さまにトラブルがあり、力を貸してほしいという内容だった。ロンドンを経由してJAL便で東京まで帰る予定だったが、他の航空会社が運航するロンドン行きの便が運休になり、帰れなくなりそうだという。

私はワンワールドラインという部署に所属している。「ワンワールド」とは、JALが加盟する航空会社アライアンス。世界各国の航空会社が加盟し、コードシェア便(共同運航)やマイレージの提携などの相互連携を図っている。私はJALのワンワールド窓口として、加盟航空会社とのやりとりを担うのが仕事だ。そのお客さまが搭乗予定だったロンドン便を運航するのは、ワンワールドに加盟している航空会社だった。

どうやらお客さまからの問い合わせを受けた予約センターの担当者が、別の便を手配しようとチケットの詳細を確認してみると、既に便が変更された形跡があったという。しかしチケットの情報からは、誰が便を変更したのかも、どの便に変更されたのかもわからない。そこで、ワンワールドラインで何か情報が得られないだろうかと連絡が来たのだった。

改めてお客さまのチケットを確認すると、やはり変更済になっている。いったい、どの便に変更されたのだろう。こうしている今も、お客さまは異国の空港で不安に襲われているはず。東京行きの乗り継ぎに間に合わない可能性もある。何とかしなければ……。自分にできることはないだろうか。

「違和感」に見つけた光

思えばずっと「自分にできること」を探してきた。父が転勤族だったため、幼稚園から高校卒業まで東南アジアで過ごしていた。印象深いのは、ベトナムの学校で行ったボランティア活動。子どもたちに文房具を寄付したとき、とても喜んでくれたのを今も覚えている。帰国後も大学でボランティア活動に携わり、求められていることにいかに応えるかを考えていた。そのマインドは、今の仕事にも生きているように思う。

運休したロンドン便は、ワンワールド加盟航空会社とのコードシェア便だった。それなら、予約センターでは確認できないが、JALのワンワールドラインなら、運航航空会社が持つ予約を確認できる。早速予約画面を開き、隅々まで見る。異常はないように見えるが、かすかな違和感がある。もう一度見返す。一番上にある電話番号の欄に、アルファベットが含まれている。まさか。

アルファベットをコピーし、キーボードを叩く。予感は当たった。それは、別の航空会社が運航する便の予約番号だった。お客さまの名前もある。欠航が起きた混乱の中、他社のイレギュラー対応チームがフランクフルト発東京行きの他社直行便へ変更し、新たな予約番号を電話番号欄に書き残していったのだ。一番上にあれば見つけてもらえるだろう、と希望を託して。

「もう一つの便」は見つかった。相手のワンワールドラインに状況を説明し、新たな航空券番号を取得。予約センターに代替便の手配完了を伝えたころには、すでに窓の外が暗くなっていた。目を閉じ、大きく息を吐く。たった30分ほどの出来事だったが、まるで数時間も奮闘したような、大きな達成感があった。

無事にお客さまが搭乗できたことを知ったのは、それから数日後のこと。チケット変更の裏で何が起きていたのか、お客さまは知るよしもない。それで構わない。お客さまを無事に目的地に送り届けることが、私たちの使命。そして、自分にできることなのだから。